Entries from 2012-10-01 to 1 month

石黒賢のレビュー

千二は、もう一度同じような調子で言った。 すると、眠っていた丸木は、ぶるぶると長い手足をふるわせた。と思うと間もなく、丸木は大きな頭を持ち上げて、ぐらぐらとふった。それは、まるで猫がひる寝から目がさめて、背のびをする時のかっこうに、よく似て…

カヴァレリアトスカーナへの見解

それは刑務所で入札の結果、本年も紙風船は丸福に落ちていたのだった。だから柿色の紙風船は、この店にあるより外に、行く先がなかった。売れたのかしら? 「……もう風船はないのですか」 「唯今、これだけで……」 「そうですか。どこかにしまってあるんじゃな…